手彫りの竜文が美しい日本最小の切手
■日本で近代的な郵便制度が発足したのは明治4年のこと。これより以前は飛脚が足で郵便物を運んでいたため、料金が極めて高く、利用する者は大名や豪商などに限られていました。そこで、明治新政府は交通と通信を司る駅逓士の長に前島密を登用。安価で迅速な郵便制度の確立を目指したのです。この時、普通切手の第一号として採用されたのが「竜文切手」でした。
■雷紋と七宝の輪郭文様の中に、向かい合った竜が描かれていることから竜文切手と名付けられた本品。図案を手掛けたのは、日本初の全国通用紙幣を担当したことでも知られる銅板彫刻師の松田緑山でした。もともと、前島の原案では梅花模様で周りを囲った図柄でしたが、偽造されやすいとの理由により改められたのです。
■竜文切手は1シート40枚。当時はまだ原版を複製する技術がなく、同じ龍の図案を40回手で彫り上げたため、模様に微妙な違いが認められるのも特徴です。切手の印面は19・5?の正方形であり、日本の切手の中では最小サイズ。また、手彫切手で唯一の2色刷りであり、現代の切手では一般的な国名表記のほか、目打(切手周囲の連続した小穴)や裏のりもありませんでした。この度ご紹介している『竜文切手48文』を当時使用した場合、東京から横浜間に1匁(3・75g)までの書状を届けることができたのです。
■本物であることを証明する日本郵便切手商協同組合の鑑定書付き。保護用ケース入りでお届けしますので安心してご所蔵いただけます。切手愛好家の方はもちろん、切手を収集する上でぜひとも入手したい150年前の切手。未使用美品という貴重品をお届けする、またとない好機をお見逃しないようお願いします。限定10。
日本郵便切手商協同組合鑑定書付き
竜文切手はなぜ48文という区切りの悪い額面なのか?
この48文という不可思議な額面は戦国時代から続く「九六勘定」の慣習に基づくとされます。これは、銅銭48枚を持って銭50文とみなした江戸時代のままの通貨単位が取られていたためです。また、区切りの良い50文にしなかった理由として、当時は文明開化による経済成長の影響で銅銭の需要が急激に高まっていたことから、その不足分を少しでも補うために、2文減らす措置が取られました。