岡本太郎と縄文芸術 - 【東京書芸館公式サイト】国内外の優れた美術・工芸品(記念貨幣・絵画・陶芸・稀少石・仏像・純金作品など)を取扱う通販サイト

今年3月から始まった「太陽の塔」の内部公開が大盛況! いま日本列島に縄文ブームが巻き起こっています。

未知なる縄文文化の旅へ
皆様をご案内いたします。

「人類は進歩なんかしていない。
何が進歩だ。縄文文化のすごさを見ろ。私の血の中に力が噴き起こるのを覚えた。
新しい伝統への視野が開け、我が国の土壌の中にも掘り下げるべき、文化の層が深みに潜んでいることを初めて知ったのである」

岡本太郎

魂を揺さぶり、圧倒的エネルギーで迫る縄文芸術

　国宝指定の土偶が一堂に集結した2014年の「日本国宝展」の熱狂も覚めやらぬうちに、今年7月3日から東京国立博物館で『縄文―1万年の美の鼓動―』が開催されます。万物に精霊を見いだし、畏れ敬う縄文人が生み出した土器や土偶などの古代芸術をひと目見たいと心待ちにしている方も多いことでしょう。それほど今、列島は縄文ブームに湧き上がっています。

　縄文文化を代表する縄文土器を最初に発見したのは、エドワード・S・モースというアメリカ人でした。明治時代、東京大学に教授として招かれたモースは東京書芸館のすぐそばにある大森貝塚に太古の文明が眠っていると確信し、掘り当てることに成功するのです。
しかし、当事は考古学的・民俗学的な大発見として取り上げられ、芸術という側面から語られることはほとんどありませんでした。そのため、芸術として脚光を浴びるのは、戦後を待たなければなりません。

そして、その芸術性をいち早く見いだしたのが、稀代の天才芸術家・岡本太郎氏にほかなりません。

　当時、上野の博物館で、掛軸や巻絵などを見ていた太郎氏の目にたまたま目に止まったのが縄文中期の火焔土器でした。そして「この土器は一体なんであろう。このようなものを日本人が作っていたのか」と驚嘆したと伝えられます。これがきっかけとなり、氏は縄文時代の土器や土偶こそが、日本芸術の原点に違いないと思うに至り、文部省に縄文文化について、小学校の社会科の教科書に載せるべきだと訴えるのです。

　「これでもか、これでもかと執拗に迫る緊張感。しかも純粋に透き通った神経の鋭さ、常々、芸術の本質として超自然的激越を主張する私でさえ、思わず叫びたくなるすごみである」

　確かに西洋文化に慣れ親しんだ日本人にとって、縄文時代の芸術は一見、不思議なものに映るかもしれません。しかし、見入っていると圧倒的なパワーとエネルギーが心に迫り、魂を揺さぶられ続けます。これは私たちの遠い祖先が持っていた美意識であり、今もなお、潜在的にその血を受け継いでいるからかもしれません。そこで、今回は『岡本太郎と縄文芸術』と題し、未知なる古代の旅へと皆様をご案内したいと思います。岡本太郎記念館公認のたいへん稀少な傑作セリグラフや芸術品はもちろん、考古学復元家・伊澤孝臣氏が復元した縄文土器と土偶、石の楽器など、魅力あふれる作品がめじろ押しとなっています。

　奇しくも構想から50年、2018年3月から岡本太郎氏の代表作である日本万国博覧会のシンボル『太陽の塔』の内部が一般公開されています。「作品を創る時は全身、全存在をぶつける。だが、創り終えたら、それは皆さんのものだ」―。生前、不世出の天才はこのように語っています。今回ご案内する作品はまさしく氏の言葉通り、触れ、間近で鑑賞することによって、その魅力とみなぎる生命力を感じ取っていただけることと存じます。それでは、まず爆発の芸術家の大傑作からご堪能ください。