国家的栄誉に浴す偉才の明るい未来への祈りが込められた力作
■古来、毘沙門天(びしゃもんてん)の使いとされる神獣・虎。『翠春(すいしゅん)』は伝統工芸士・佐野宏采氏が座虎(ざとら)を写実的に象り、金沢純金箔貼りを全面に施した絢爛(けんらん)たる高岡銅器の傑作です。泰然自若としたこの姿は天才絵師・伊藤若冲(いとう じゃくちゅう)が画題に選んだほど。前肢(ぜんし)の鋭い爪で大地をしっかりとつかみ、後肢(こうし)の強靭な筋肉に威厳と荘厳さを感じ取っていただけるでしょう。
■この作品が誇る大迫力はぜひ間近でご確認いただきたく存じます。鋭い牙を剥き、咆哮(ほうこう)を上げる勇壮な表情の見事さたるや。隆々とした首から背の筋肉、しなるムチのような尾は本物と見紛うほどで、耳の下からあごにかけての鬣(たてがみ)の表現は驚愕のリアリティーです。これぞ、工房でご覧になった上皇上皇后陛下から称賛のお言葉を頂戴した偉才の圧倒的な技量。あまりの完成度の高さにため息を禁じ得ません。
■「歴史的に見ても、千里を駆ける虎の作品の多くは歩いているものが多い。しかし、このような時世、私は猛々しくも、どっしりと構える虎を制作したかった。何事にも揺るがない座虎は一切の邪を避ける盾のような存在である」―。今という時代だからこそ、強さと希望を届けたいという巨匠の思いが込められた魂の作。『翠春』という作名は「明るく晴れやかな季節」という意味を持ち、寅年の令和4年が素晴らしいものになることを祈願します。降りかかる病魔災厄を噛み砕き、万事吉祥を呼び込む黄金芸術を末長くご愛蔵ください。
足裏の肉球までもリアル
桐箱に入れてお届けします