ルノワール
『イレーヌ・カーン・ダンヴェール嬢』
原画制作年:1880年 Mlle. Irene Cahen d'Anvers
当時ルノワールを支援していたユダヤ人銀行家カーン・ダンヴェール氏の妻からの依頼で制作された。憂いを含んだ瞳、豊かな髪の質感など、8歳の少女の内面まで深く描ききった本作は、ルノワールが画家として非常に苦しんでいた時期に、渾身の力で描いた傑作である。だが依頼主に気に入られずに長く家の奥にしまわれた後、大戦中にナチスに没収されてしまう。戦後、一旦はイレーヌの元に戻されるが再び売りに出され、スイスのビューレー財団が購入し今日に至る。
ネオシルク印刷とは
従来の版画技法であるシルクスクリーンとジークレ・デジタルプリントを混合した新しい版画技法。デジタル化された画像を細密拡大し、経年による亀裂、退色等を補修するとともに、手作業によるシルクスクリーン技法を併用することで、版画作品としての完成度を追求している。また、顔料インクの長所である紫外線の耐光年数をより強度にし、空気による酸化をもメデュウムコーティングを施すことにより解決している。
制作工房:360°GRAPHICS 版元:ATELIER BLANCA
オーギュスト・ルノワール 略歴
1841年、フランスのリモージュに生まれる。13歳の時から陶芸工房で絵付師の見習いとして修行しながら国立美術学校で学び画家として一歩を生み出す。その後、印象派の代表的な画家として「浅敷席」「踊り子」などの傑作を発表、花など静物画のほか、裸婦像、少女像などの人物画を得意とした。独自の配色による 豊かな色彩を駆使して、晩年まで親しみやすい画風による約6000点もの作品を残す。1919年、78歳で死去。