神々しくも妖艶な白鳳が舞い降りる花鳥吉祥画の金字塔
清水焼の第一人者が陶額に端麗に表現
■伊藤若冲は、江戸時代中期の京都で活躍した「奇想の絵師」。徹底した写実と想像力を巧みに融合させた作品が人気を集め、近年では空前の若冲ブームが巻き起こっています。
白鳳の魅惑的なまなざし
■『老松白鳳図』は、若冲が相国寺へ寄進した花鳥画群「動植綵絵」(現在は宮内庁三の丸美術館所蔵)の一作。秀作揃いの動植綵絵の中でも、とくに優れた吉祥画と言われる、若冲の代表作です。
■本作は伊藤若冲生誕300年を記念し、この傑作を京都清水焼の名工・山岡善昇氏が、陶板に手描きで絵付けをした逸品です。
■羽を大きく広げ、神々しく輝く不老不死の霊鳥・白い鳳凰、右上には朱色の旭日、葉や幹まで緻密に描かれた長寿の象徴・老松、鳳凰の止まり木とされる吉祥木・桐。吉祥意匠の絶妙の配置と色彩の対比は、言葉を失うほどの完成度です。
そして誰しも目を奪われる、純白と黄金色に彩られた白鳳の羽の美しさ。これは原作では、若冲が得意とした裏彩色で表現されたもの。裏彩色とは、裏透けする絹本の特性を生かし、表と裏の両面から彩色する技法のこと。重なり合う2色が独特の色彩効果を生み、絶妙の色合いが表現できます。
浮き出し加工の陶額
■若冲独自の色彩と繊細巧緻な意匠を、陶板として再現したのは、善昇窯の山岡善昇氏。伝統工芸士として活躍する山岡氏は、京都色絵陶芸展での京都府知事賞をはじめ、数々の受賞歴を誇る名工です。
山岡氏は長年培った技で何度も絵の具を塗り重ね、焼成を繰り返すことで、原画の色彩を忠実に再現。白鳳の羽は、ひと筆ずつ緻密に描き込むことで、透けるような質感までも表現した、心奪われる出来映えです。
■高級感溢れる陶板に写されたファン垂涎の若冲渾身の快作を、ぜひお手元でご賞翫ください。
洋室にもしっくり馴染む格調高い額装