冴えわたる若冲の観察眼と表現力
今にも動き出しそうなほど
描き込まれた雄鶏
■日本のみならず海外においても絶大な人気を誇る伊藤若冲。展覧会などでご覧になり、その圧倒的な画力に衝撃を受けた方もおられるでしょう。この度ご紹介する『雪中雄鶏図』は、若冲が「景和」と名乗っていた30代前半頃に描いたとされる初期の名作。後年、その名を世に轟かす、強烈な画風の萌芽を垣間みることのできる《若冲の原点》ともいうべき傑作です。
■自宅の庭に鶏を飼い、写生に没頭したという若冲の鋭い観察眼と表現力をご覧ください。羽毛の一枚一枚から、質感まで伝える赤い鶏冠や肉髯は美の極み。餌を探す動作、逆立てた漆黒の尾羽など臨場感ある描写は他の追随を許しません。雄鶏は五徳を表し、生命力の象徴である竹は、大雪に負けじと屈曲しながら伸びています。重みを感じさせる雪は豊作を、黄色の野菊は長寿を示した吉祥尽くしの作品です。
繊細な筆運び、色彩まで徹底再現!
■本作は所蔵元である京都・細見美術館の公認作品。文化財保存に使用される最大1億3千万画素もの超高精細画像で複製。若冲の繊細な筆運び、色遣いまで余すところなく再現しました。今回は「軸装」と「額装」をご用意。お部屋で若冲の真髄を愛でつつ、天才絵師の画力を存分にご堪能ください。
江戸期の花鳥画の天才 伊藤若冲 略歴
1716年、京都生まれ。10代半ばより絵を描き始め、狩野派や中国の宋元画の画法を独学で学ぶ。その後、庭に鶏を飼い写生すること数年、独自の写実的な技法を会得する。本作『雪中雄鶏図』はその賜物である。40歳で弟に家督を譲り本格的に絵師を志す。1758年、花鳥画の傑作「動植綵絵」に着手。10年近くをかけて完成させた30幅にもなる連作を、禅の真髄を学んだ京都・相国寺に寄進。85歳で大往生するまで絵画に没頭し、人生を捧げた。