侘びた風情、無駄を省いた形姿は荘厳の一語。
年月を経るごとに苔むす時の芸術。
深い味わいを誇る高級石・真壁御影石
真壁御影石の特徴は優しい色彩や石目のきめ細やかさに加え、厳しい風雪にさらされても変化のないことが挙げられます。そのため、石彫刻の最良石とされており、500年も前から墓石・供養塔類の指定銘石とされてきました。現在も高級石として重宝され、迎賓館や日本銀行本店、皇居の縁石などの素材に用いられています。
貴族や大名が時を忘れ見入った仏塔
九輪の頂上には
満願祈念の如意宝珠
■草木や石にしっとりなじみ、庭園を侘びた風情に演出する真壁御影石彫刻(まかべみかげい しちょうこく)。ご尊家のお庭に雅趣(がしゅ)が欲しいとお感じの方は、ぜひこの機会に『宝筐印塔(ほうきょういんとう)』をお飾りになり、最後の仕上げ、画竜点睛(がりょうてんせい)としてみてはいかがでしょうか。無駄を一切省いた形姿は見事に山水へ溶け込み、見るほどに凛とした心持ちを覚えます。
■『宝筐印塔(ほうきょういんとう)』とは現世ご利益をもたらす鎌倉時代に伝来した仏塔。 権力闘争から離れた貴族は時を忘 れるほど見入り、東山文化が花開く室町後期には枯山水様式(かれさんすいようしき)と融合。江戸時代になると、全国各地の大名は醸し出される厳しい精神性 に惹かれ、武家としての格を高める意匠として大屋敷の庭園に祀った歴史を有します。
■作者は伝統工芸士・加藤幸彦(かとうゆきひこ)氏。先代の父 から一子相伝(いっしそうでん)の技を継承する石彫刻の名匠です。本作は伝統に則(のっと)り、塔身を大日如来(だいにちにょらい)とし、東に阿如来 (あしゅくにょらい)、西に阿弥陀如来(あみだにょらい)、南に宝生如来(ほうしょうにょらい)、北に不空成就如来(ふくうじょうじゅにょらい)の梵字 (ぼんじ)を謹刻。基礎石の側面には、須弥壇(しゅみだん)などに刻まれる格狭間(こうざま)を彫り込みました。風流な造形は氏の卓越した手技なくして実 現しなかったでしょう。
いつまでも眺めていたい石彫刻の真髄
■年月を経るほど寺院の石仏のように苔むし、貴方様とご家族が過ごした時の流れをご実感いただける傑作。荘厳な佇まいはご尊家の家格を高め、訪れるお客様もさぞや驚かれることでしょう。日に日に四季の風物詩との対比の美しさとえもいわれぬ味わいを増す石彫刻と醍醐味をご堪能ください。
『宝篋印塔』は五智如来の功徳を具現した仏塔で、密教の祖師、真言八祖の一人、不空三蔵の「宝篋印陀羅尼経」が名前の由来とされています。「礼拝供養すれば、現世の災いから逃れ必ず往生できる」と説かれており、お祀りすれば、ご尊家の発展隆盛を強く願うことでしょう。