■高く結(ゆ)った髻(もとどり)から足元まで流れる天衣(てんね)に身を包み、浄土の蓮池(はすいけ)の水面(みなも)に佇む姿は壮麗(そうれい)の一語。たおやかなご尊顔を拝するほどに、穏やかな気持ちが込み上げてきます。
『宝珠観音菩薩』は工芸美術師・李建敏氏が銘木黒檀を彫り上げた麗しきご尊像。氏は硬質な唐木(とうぼく)を彫り上げた作品に定評があり、国内外で数々の 栄誉に浴する偉才として名声を博しています。その繊細精緻な彫りは筆舌に尽くしがたいほど表現力豊か。錐(きり)のように細い尖刀(せんとう)から滑らかな曲線を可能にする平鑿(ひらのみ)まで巧みに使い分け、驚愕の造形美を実現します。

■慈悲の御心あふれる本作は名匠が持てる手技を余すところなく注ぎ込んだ結晶。流麗(りゅうれい)な天衣は穏やかに打ち寄せる波のようで、裙(くん)の腰帯は美しい結び目をつくってから池面(ちめん)へと緩やかに流れます。胸元を飾る瓔珞、腕に刻まれた腕釧(わんせん)は黒真珠のように輝き、肩まで流れる御髪は一本一本、超細密に表現。さらに手足の指は爪まで彫り込むこだわりようです。この木彫の限界に迫る造形は細密彫刻を極めた名匠たる証明に違いありません。

■また、本作のありがたみを際立たせるのは、左手の如意宝珠です。あらゆる願いを叶えるとされるこの法 具は国宝級の名像がお持ちになっているほど。古来、人々が大願成就の願いを託し続けた歴史を有します。また、掲げた右手の親指と中指が結ぶ印相は吉祥印。福徳招来のしるしはご尊家に大きな吉運と災厄除去のご利益をもたらすことでしょう。

■素材の黒檀は寺社仏閣の大黒柱や数々の仏教彫刻に用いられる高級木。現在も由緒正しい神社においてご神木として祀られるように、魔除けの力を秘めるとされ、古くから権力者が珍重してきました。

この銘木を今をときめく名匠が彫り上げた作品とあれば、所蔵価値は格別です。一族隆盛の願いを託し、代々受け継ぐにふさわしい総高48cmものご尊像。お祀りいただけば、万事吉祥・家内安全を深くお祈りくださることでしょう。作者銘入り。化粧箱つき。黒檀の名像をお求めやすい価格でご購入できる機会をお見逃しないよう、お願い致します。

　1986年6月、中国福建省生まれ。 木彫の名門一家に生まれ育ち、幼少から木彫に慣れ親しむ。熟練彫 刻師に師事し、十年余の彫刻経験を積み重ね、匠の技を習得。黒檀、緑檀などの唐木を使った作品に携わるようになったのもこの頃で、国内外の数々の展覧会に おいて高い評価を獲得する。2006年には「工芸美術師」の栄誉称号を拝する。優雅で繊細な彫りを誇る本作『宝珠観音菩薩』は氏の芸術力の真髄である。