作品の中央にかすかにみえる小舟と
人影、独自の「ぼかし」の至芸
■早朝の深い静寂の中、しだいに山里の空が白み、ほのかに赤みの射した山際には、 かすかに赤みを帯びた朝の光。 水墨画のような山々や水辺には、淡くあるいは濃く、白い川霧がたちこめています。 眺めるほどに、細やかな水滴が、指先に触れるような驚くべき精妙な描写です。
本作品『川霧(かわぎり)』は、ボストン美術館、ロックフェラー記念美術館など、 欧米著名美術館でも作品が所蔵される国際的版画家・ 宮本秋風(みやもとしゅうふう)画伯の手になる作品。 画伯の画業35周年を記念して作成した《自彫り自摺り》木版画の傑作です。
本作品『川霧(かわぎり)』は、ボストン美術館、ロックフェラー記念美術館など、 欧米著名美術館でも作品が所蔵される国際的版画家・ 宮本秋風(みやもとしゅうふう)画伯の手になる作品。 画伯の画業35周年を記念して作成した《自彫り自摺り》木版画の傑作です。
■宮本画伯は、一枚一枚版木の《彫り》から彩色を重ねる《摺り》の工程まで、すべて自らの手で行うことで、 一点一点を、原画同様の思いによって仕上げてゆきます。 墨色、白、濃緑という、抑えた色調を選び、 独自の《ぼかし》手法を駆使して宮本画伯ならではの詩情あふれる心象風景の世界を描いています。
■本作品『川霧』は、画業35周年の節目に、宮本画伯がこれまでの技法を集約して制作した作品です。 東京書芸館のみの特別頒布。限定250部制作。
宮本 秋風 略歴
昭和25年、福岡県生まれ。昭和44年、東京で飯岡修画伯に油彩を師事。
昭和57年、作品がボストン美術館、ロックフェラー記念美術館等に買い上げられ、世界的に注目される。以後、シアトル(米)、ロンドン、パリなど、海外で個展を精力的に開催。
平成17年には画業35周年を記念して「川霧」を制作。
また、初めての木版画集「宮本秋風木版画集」を出版。京都画廊選抜展賞、86年度芸術クラブ賞ほか、受賞歴は多数。「ぼかし摺り」で名高い木版画界の名匠である。