シルクロードを踏破した巨匠がたどり着いた日本の美しさ。
幻想的に咲き誇る吉野の名桜に春爛漫の色香が漂う傑作!
シルクロードを踏破し、仏教伝来の道を描き続けた文化勲章受章作家・平山郁夫画伯。ある時は灼熱の砂漠を訪ね歩き、またある時は極寒の山岳を越えるなど150回以上もの取材を重ねました。こうした過酷な旅から帰国し、日本の原風景を眺めると「母親の胸に戻ったような、安らいだ気持ちになった」といいます。この度ご紹介する『吉野山 桜花』は、海外渡航歴が多い画伯だからこそ到達できた、日本美の素晴らしさを、奈良・吉野の桜に投影して描いた最晩年の傑作です。
右写真:公益財団法人平山郁夫シルクロード美術館提供
■ラピスラズリを彷彿させる平山ブルーの空に枝を伸ばし、画面いっぱいに咲き誇る満開の桜。ふんわりとした白と淡い紅色が華やぐ桜は、薄墨を用いて陰影をつけながら丹念に描写されています。桜の遥か遠くには、緑豊かな森に佇む世界遺産・金峯山寺の蔵王堂。日本最大の秘仏本尊・金剛蔵王権現を祀る古寺の威容を伝えます。その遠近感は見事というほかなく、春爛漫の色香が漂ってくるかのような温かい雰囲気に包まれることでしょう。
■本作は他社様に先んじてお届けする生誕90周年記念作品。数々の名作復元に携わる大塚巧藝社の高精細多色刷りと岩絵具手彩色を用いた「巧藝画®」により、原画の風合いそのままに初めて再現しました。原画は個人所蔵の《幻の作品》であるため美術館では滅多にご鑑賞いただけません。世界の巨匠が描いた名桜の幻想美を引き立てる「金泥仕立ての木製額」入り。お部屋で満開の桜を楽しみつつ、筆舌に尽くしがたい感動を味わいください。限定10。
平山郁夫 略歴
昭和5年 広島県生まれ。
昭和27年 東京美術学校日本画科卒業、前田青邨に師事。
昭和28年 院展初入選。昭和36年、第46回院展日本美術院賞受賞。
昭和63年 ユネスコ親善大使に任命される。
平成元年より東京藝術大学長に就任(13年に再任)。
平成5年 文化功労者として顕彰。
平成10年 文化勲章受章。世界遺産担当特別顧問、文化財赤十字活動を提唱する文化財保護・芸術研究助成財団の理事長などを歴任。
平成19年 本作『吉野山 桜花』を制作。
平成21年 惜しまれつつ逝去。享年79