戦後を偲び打ち上げる大輪の花
■日本の夜空に彩りを添える夏の風物詩・花火。見上げれば美しい大輪(たいりん)を咲かせ、一瞬にして散りゆく様に一喜一憂、私たちを心から楽しませてくれます。
■お盆の時期に開催されることの多い花火大会。実は「鎮魂(ちんこん)」の意味を持ち合わていることをご存知でしょうか。儚(はかな)く消えゆくものを慈しむ、日本人ならではの心の表れがそこにはあります。ご先祖様を懐かしみ、冥福(めいふく)を祈る慰霊祭(いれいさい)としても催されているのです。
■本作『花火』は花鳥図などの古典意匠で高い評価を得ている気鋭の女流日本画家・鈴木優莉氏により絹本(けんぽん)に描かれた肉筆画。画面一杯に描く夕闇に咲き誇る3つの花火は家族を彷彿とさせます。作品をつぶさにご覧になれば、水面(みなも)に浮かぶ「祈(いのり)」の文字。そこには祈りを捧げる全ての人の気持ちが故人に届きますようにとの思いが込められています。
■女流作家ならではの華やかさと繊細さ、心温まる優しい筆致で描かれた一幅。歴史的な節目に、本作品でご尊家にも花火を打ち上げていただき、ご先祖様への祈りと子々孫々の安寧をご祈念ください。太巻、直筆箱書き入り桐箱に納めてお届けいたします。