-幻と化した- 屋久杉芸術 第2号

謹啓

　日頃より東京書芸館をご愛顧いただき、心より御礼申し上げます。この度は千寿神木・屋久杉を用いた超一流品ばかりを集めた「幻と化した屋久杉芸術」第２号をお届けします。「幻と化した」その要因とは、現在、屋久杉の伐採禁止はもちろんのこと、平成を最後に倒木や土埋木の競売までもが廃止され、一般的には入手不可能になったためです。それに伴い、価格が以前よりも数倍近く高騰。美術工芸品となる屋久杉は禁止以前に採取されたものだけに限られるため、素材の枯渇が危惧されています。したがって屋久杉芸術をご入手いただける機会は本当に今のうちです。今回も弊社スタッフが屋久島まで赴き、前号から２年の歳月をかけ、素材から厳選して完成した作品ばかりとなりますのでお見逃しないようお願いします。

　まずご注目いただきたいのは、屋久杉工芸士・山中良行氏が丸彫りして誕生した『財運吉笑まねきねこ』です。招き猫のような立体の造形物には倍以上の屋久杉の塊が不可欠であり、本作では木の中心部に近い貴重な「心材」を用いているため稀少価値が高まっています。満面の笑顔が印象的で、大きく開けた口にコインを入れて金運隆盛を祈願なさってください。次に、幻の屋久杉材・蓮材を用いた置時計『千年の刻』をご紹介します。「天然の彫刻」と称される蓮材は、屋久杉の中でも群を抜いて貴重な素材で、古くは武家屋敷の欄間や高級テーブルに使用されてきました。これを屋久杉芸術家・今村毅氏が輪切りにして、文字盤を嵌め込み、千寿御神木の風格が満ちた芸術時計を完成させました。

　そして屋久杉製の『子孫永続刀掛』にふさわしい風格を放つのが保存刀剣『寿命』です。『寿命』は「としなが」とも呼ばれ、長寿長命を思わせる銘を持つことから、徳川家にも献上された由緒正しき縁起刀です。大きな反りの刀身に輝く、互の目乱れの刃文が美しい一振りとあって文化遺産級といっても過言ではありません。屋久杉製刀掛けとあわせてお飾りください。

　このほか、前号で大好評を博した彫刻家・泊健一郎氏作の屋久杉油木衝立は『幾千の奇跡』と題し、大きさを新たに再登場。屋久杉家具の権威・芋迫美利氏による杢目美しい天板が目を見張る本格ダイニングセット『神の記憶』はテーブルと椅子２客セットで驚きの価格を実現しました。また、今回は鹿児島県屋久島産の宝石巻貝『夜光貝』と、財産にもなる本場大島紬の反物『屋久杉染』も屋久島ゆかりの逸品としてあわせてご案内しております。

　別紙では弊社史上初となる屋久杉製の『干支根付コレクション』をお届けいたします。杢目が詰まった千年樹を彫り上げ、十二支それぞれに生命を吹き込みました。超巨大な一点物『八百万の神樹』はもう二度と世に出ないであろう巨大原木です。このように「屋久杉」は限りある天然資源であり、本物をご購入いただける機会が今後いっそう激減することは間違いありません。究極の名品が網羅された本号を隈なくご覧になり、大自然が育んだ至宝をご所蔵ください。

　謹白

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